当社は、原子層レベルでの精密なエッチング制御を可能にするALE(Atomic Layer Etching)装置「RIE-400iP-ALE」および「RIE-800iPC-ALE」を開発し、2025年12月17日(水)より販売を開始いたします。なお、本製品は本格的な販売開始に先立ち、既に国内外の大学・研究機関様への販売・納入実績があり、 次世代デバイス開発における重要プロセスとして高い関心と評価をいただいております。
■開発の背景
生成AIの普及に伴うデータセンターの処理負荷増大や電力消費量の増加を受け、電力変換効率と高周波特性に優れたGaN(窒化ガリウム)系デバイスへの期待が高まっています。一方で、GaNは化学的に安定かつ原子間結合が強固であるため、従来のICP-RIEによる加工ではイオンの物理的衝撃に依存せざるを得ませんでした。その結果、デバイスへのダメージが発生し、リーク電流増大などの特性劣化を招く点が技術的な課題でした。
これらの課題を解決するため、当社は原子層エッチング(ALE)技術を搭載した「RIE-400iP-ALE」および「RIE-800iPC-ALE」を製品化しました。ALEはプロセスを「表面改質」と「除去」のステップに分離し、低速かつ自己律速(Self-limiting)的に原子層1層ずつを除去する手法です。これにより、プラズマダメージを最小限に留め、GaN系デバイスのゲートリセス加工などにおいてナノレベルの精密制御と理想的な界面形成を実現します。本技術は、次世代GaNパワーデバイスのさらなる高性能化に貢献します。
■ 製品の特長
- 原子層レベルの超精密加工 反応性ガスの吸着工程と、イオン照射による除去工程を交互に繰り返すことで、原子層単位での深さ制御を実現しました。これにより、従来の連続的なエッチングでは困難だった平坦性と均一性を確保します。
- 低ダメージプロセスの実現 イオンエネルギーを精密に制御することで、結晶構造へのダメージを低減します。界面準位密度を抑えることが重要なHEMTなどのデバイスの特性向上に寄与できることを期待しています。
- 高い選択比 材料ごとの化学的性質を利用する自己律速(Self-limiting)により、特定の材料のみを選択的にエッチングすることが可能です。微細なトレンチ構造やゲートリセス加工において、通常のICPプロセスより高い選択比を発揮します。
■主な用途
- GaN系パワーおよび高周波(RF)デバイス向けAlGaNの
- ゲートリセス加工やp-GaN/AlGaNの高選択比加工
- SiCパワーデバイスのトレンチ加工
- InPやGaAs系フォトニック結晶の加工
- MEMS(微小電気機械システム)の加工
- ナノテクノロジー研究開発
■今後の展望
当社は、本装置を来週から始まるSEMICON Japan 2025や名古屋大学で開催されるGaNコンソーシアムにてポスター展示および技術紹介を行う予定です。今後も、最先端のプロセスソリューションを提供することで、世界の産業技術の発展に貢献してまいります。
■製品
- 研究開発用ALE装置「RIE-400iP-ALE(最大径4インチ対応)」
- 生産用ALE装置「RIE-800iPC-ALE(最大径8インチ対応)」

研究開発用ALE装置「RIE-400iP-ALE(最大径4インチ対応)」
生産用ALE装置「RIE-800iPC-ALE(最大径8インチ対応)」
<お問い合わせ先>
サムコ株式会社
広報宣伝室 土橋 篤志
075-621-7841
tsuchihashi@samco.co.jp